「自分の口の臭いが気になる…」 「家族や友人から口臭を指摘されたことがある」
そう感じたことがあるのは、あなただけではありません。実は、日本人の80.6%が自分の口臭を気にしているという調査結果が出ました。
特に注目すべきは、妻が夫の口臭を気にする割合(83.6%)が、夫が妻を気にする割合(59.3%)を圧倒している点です。
夫は年齢とともに妻の口臭を気にしなくなる傾向がありますが、妻は夫の口臭をいつまでも気にし続けている、という少し切ない実態が明らかになりました。
今回は、10代から70代までの男女1万人を対象とした大規模な意識調査から見えてきた、日本人の「口臭」に関するリアルな悩みと、その解決策についてご紹介します。
※1)参考文献はこちら
この記事では、浜松市で口臭外来を行う青木歯科医院が、口臭の原因や種類について、専門的な知見を基にわかりやすく解説します。
ご自身の悩みを正しく理解し、適切な対処法を見つけるためのヒントにしてください。
口臭の原因、9割がお口の中ってホント?
今回は、多くの人が気になる「口臭の本当の原因」について、専門的な立場からハッキリさせたいと思います。
実は、**「口臭の原因の約90%は、お口の中にある」**というのは、歯科医療の世界では常識ともいえる事実です。
「本当なの?何か根拠はあるの?」
そう思われる方のために、今回はその「科学的な根拠」を、信頼できる情報源と共にご紹介します!
口臭の原因の9割は口の中??
この「9割」という数字は、誰かが言い出した噂や憶測ではありません。長年にわたる国内外の研究によって裏付けられた、科学的根拠に基づく見解です。
それでは、具体的な根拠を見ていきましょう。
根拠①:国(厚生労働省)もウェブサイトで明記
まずご紹介するのは、最も信頼性の高い情報源の一つ、厚生労働省のウェブサイトです。
厚生労働省が国民向けに運営している「e-ヘルスネット」という健康情報サイトには、「口臭の原因」について次のように書かれています。
社会的容認限度を超える強さの口臭を持つ成人は測定時間帯により6%~23%存在する。
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口臭について詳しく知りたいという方はこちらも要チェックです✅️
根拠②:世界の研究論文が示す科学的データ
「専門家の間では、どんな研究が行われているの?」
そんな疑問にお答えするために、口臭研究の分野で世界的に認められている学術論文を2つ、分かりやすくご紹介します。
【世界の共通認識】権威ある医学雑誌の論文
世界で最も権威のある医学雑誌の一つ『British Medical Journal (BMJ)』に掲載された論文では、口臭に関する科学的根拠がまとめられています。その中には、こんな一文があります。
In about 90% of cases, the cause of bad breath is in the mouth itself. (訳:約90%のケースにおいて、口臭の原因は口の中自体にある)
出典: Porter, S. R., & Scully, C. (2006). Bad breath: evidence-based clinical practice. British Medical Journal.
これは、世界中の専門家が「口臭の主な原因は口腔内である」という点で一致していることを示しています。
【日本の大規模調査】日本人を対象とした研究
「それは海外の話では?」と思う方もいるかもしれません。もちろん、日本でも同様の研究が行われています。 1995年に発表された日本の論文では、日本人を対象とした大規模な調査が行われ、口臭と歯周病の間に非常に強い関連があることが示されました。
この研究をはじめ、多くの国内研究が「日本人の口臭原因の大部分が口腔内にあること」を裏付けています。
そもそも「口臭」とは?不快なニオイの正体
口臭とは、一般的に**「口腔および呼気の嫌な臭い」**を指します。会話は息を吐きながら行うため、口臭は口の中のガスだけでなく、肺から出てくる呼気のガスも混ざったものだと認識することが大切です。
口臭の原因となる代表的な物質が**「揮発性硫化物(VSC)」**です。特に、以下の3つは口臭の三大原因物質とされています。
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硫化水素: 卵が腐ったような臭い
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メチルメルカプタン: 野菜が腐ったような臭い(歯周病と深く関連)
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ジメチルサルファイド: 生ゴミのような臭い
これらの物質は、特に歯周病との関連が深いことがわかっています。しかし、口臭の原因は、お口の中の病気だけとは限りません。
あなたの口臭はどのタイプ?原因別にみる口臭の分類
口臭は、原因によっていくつかの種類に分けられます。ご自身がどのタイプに当てはまるかを知ることが、解決への第一歩です。ここでは、国際的にも広く認知されている分類をご紹介します。
1. 真性口臭症|実際にニオイが認められる状態
客観的に誰が嗅いでも感じ取れる口臭が存在する状態です。原因によってさらに2つに分けられます。
生理的口臭
誰にでも起こりうる、病気が原因ではない口臭です。
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起床時口臭: 睡眠中は唾液が減って口が渇き、細菌が増殖しやすくなるため、1日の中で最も口臭が強くなります。
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空腹時口臭: 空腹時に唾液の性質が変化することで起こると言われています。
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飲食・喫煙による口臭: ニンニクやアルコール、タバコなど、臭いの強いものの摂取による一時的な口臭です。
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緊張時口臭: ストレスや緊張で口が渇き、唾液が減ることで起こります。
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ホルモン変動による口臭: 思春期や生理・妊娠時、更年期などホルモンバランスの変化で口臭が発生しやすくなります。
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加齢による口臭: 年齢と共に唾液の分泌量が減少し、お口の自浄作用が弱まることで発生します。
病的口臭
何らかの病気が原因で発生する口臭です。
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口腔由来のもの: 口臭原因の約90%は、お口の中に問題があると言われています。
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むし歯、歯周病
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舌苔(ぜったい:舌の表面の白いコケ状の汚れ)
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合わない入れ歯や被せ物
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口内炎、口腔がん など
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全身由来のもの: お口以外の体の病気が原因となる口臭です。
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耳鼻咽喉領域: 副鼻腔炎(蓄膿症)、扁桃炎など
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内科的疾患: 糖尿病(アセトン臭)、腎不全(アンモニア臭)、肝疾患(腐った卵のような臭い)など
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2. 仮性口臭症|本人だけが口臭があると感じる状態
ご本人は口臭を訴えていますが、検査をしても客観的な口臭は認められない状態です。歯科医師からの専門的な説明や、正しい口腔ケアの方法を知ることで改善することが多いです。
3. 口臭恐怖症|口臭がないのに思い込んでしまう状態
検査で口臭が認められず、仮性口臭症への説明を受けてもなお「自分には口臭がある」と思い込んでしまう状態です。専門的なカウンセリングや、心療内科・精神科との連携が必要になる場合があります。
「口臭」と「口臭症」は違う?専門家が区別する理由
専門家の間では**「口臭」と「口臭症」は区別して考えられています**。
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口臭: 本人または第三者が不快と感じる**「呼気そのもの」**。
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口臭症: 口臭に対して精神的な負荷が増加している**「症状・状態」**。
簡単に言えば、「口臭=実際に臭いがあること」、**「口臭症=口臭を気に病んで悩んでいること」**です。 実際に強い口臭がある方より、客観的な口臭は弱いのに「自分は臭うはずだ」と悩んでいる「口臭症」の方のほうが、来院されるケースは少なくありません。
なぜ自分では口臭に気づきにくいのか?
口臭の悩みが複雑になる理由の一つに、**「嗅覚の特殊性」が挙げられます。嗅覚には「順応しやすい」**という特徴があり、同じ臭いを嗅ぎ続けていると、次第にその臭いを感じにくくなります。
そのため、自分自身の口臭には気づきにくい一方で、他人はあなたの口臭を敏感に感じ取っている可能性があります。この自分と他人の感じ方のズレが、「周りに臭いと思われているのではないか」という不安を増幅させる一因となっています。
口臭に関するよくあるご質問(Q&A)
Q1. 毎日しっかり歯磨きをしているのに口臭が消えません。なぜですか?
A. 歯磨きだけでは落としきれない汚れが原因かもしれません。特に、舌の上の汚れ「舌苔」や、歯と歯ぐきの溝に潜む歯周病菌が原因のケースが多く見られます。また、唾液の量が少ない、全身の病気など、歯磨き以外の要因も考えられます。自己判断せず、一度歯科医院で専門的な診断を受けることをおすすめします。
Q2. マウスウォッシュやタブレットは効果がありますか?
A. 一時的に口臭をマスキング(覆い隠す)する効果はありますが、根本的な解決にはなりません。口臭の原因そのものを除去するわけではないからです。便利ですが頼りすぎず、まずは歯科医院で原因を突き止めることが大切です。
Q3. 自分の口臭を確認する方法はありますか?
A. ご自身の口臭は嗅覚の順応により感じにくいものです。簡単なセルフチェックとしては、清潔なビニール袋に息を吹き込んで嗅ぐ、舌をガーゼで拭いてその臭いを嗅ぐ、といった方法があります。最も確実なのは、歯科医院で専用の口臭測定器を使って客観的な数値を測定してもらうことです。
Q4. ストレスで口が乾くと口臭が強くなるのはなぜですか?
A. ストレスや緊張は自律神経の働きを乱し、唾液の分泌を減少させます。唾液には、お口の中の汚れや細菌を洗い流す「自浄作用」があるため、唾液が減って口が乾燥すると細菌が増殖し、口臭が強くなってしまいます。こまめな水分補給やリラックスを心がけましょう。
論文で報告されている治療方法
研究では以下の治療が有効とされています。
1. プロの歯科治療
歯石除去や歯周病治療を行うことで、細菌の温床を減らし、口臭の改善が期待できます。実際に歯周病治療を受けた患者のVSC濃度が有意に低下したという報告があります(Quirynen et al., 1995)。
2. 舌清掃
舌苔は口臭の大きな原因です。舌ブラシや専用クリーナーでやさしく清掃すると、口臭を40〜60%改善できるとする論文があります(Outhouse et al., 2006)。
3. マウスウォッシュの活用
クロルヘキシジンや亜鉛を含む洗口剤は、揮発性硫黄化合物を抑制し、口臭改善に効果があることが示されています(Seemann et al., 2016)。ただし、長期使用には歯の着色や味覚異常の副作用があるため、歯科医師の指導のもとで使うのが望ましいです。
4. ドライマウス対策
唾液は天然の抗菌作用を持ちます。水分補給、唾液腺マッサージ、キシリトールガムなどで唾液分泌を促すことが口臭予防に役立ちます。
まとめ|口臭の悩みは一人で抱え込まず、専門家と共に解決へ
ここまで見てきたように、口臭の原因は生理的なものから病的なもの、さらに心理的な要因まで多岐にわたります。「歯磨きが足りないだけ」と自己判断せず、まずは専門家である歯科医師に相談することが、悩み解決への最短ルートです。
歯科医院では、原因に応じた適切なアプローチを提案します。
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むし歯や歯周病の治療
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正しい歯磨きや舌の清掃方法の指導
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全身疾患が疑われる場合の専門医への紹介
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心理的な要因への丁寧なカウンセリング
口臭の悩みは、専門家に相談することで必ず解決の糸口が見つかります。
浜松市で口臭のお悩みは「青木歯科医院」にご相談ください
口臭の原因は一人ひとり異なり、その悩みの深さも様々です。浜松市の青木歯科医院では、患者様のお悩みに真摯に耳を傾け、丁寧なカウンセリングと精密な検査を通じて、口臭の根本原因を突き止めます。
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専門的な口臭測定器、唾液検査による客観的な診断
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歯周病治療やクリーニングなどの専門的口腔ケア
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一人ひとりに合わせたセルフケア方法のアドバイス
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プライバシーに配慮した安心の診療環境
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