【浜松市の歯医者が解説】歯周病のサイン(出血・腫れ)は危険信号。原因と治療法を解説|青木歯科医院|青木歯科医院|浜松市中央区の歯医者

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【浜松市の歯医者が解説】歯周病のサイン(出血・腫れ)は危険信号。原因と治療法を解説|青木歯科医院

こんにちは!
浜松市中央区の【青木歯科医院】、院長の青木です。

「歯周病は、歯がグラグラになって抜けてしまう怖い病気…」 皆さんは、そんなイメージをお持ちではないでしょうか?

実は、歯周病は単なる歯ぐきの病気ではありません。

その正体は、お口の中の細菌が原因で起こる**「感染症」**です。

そして、細菌の侵入から体を守ろうとする防御反応(炎症)が、かえって自分の歯を支える大切な組織を破壊してしまう、とても厄介な病気なのです。

今回のブログでは、歯周病が「なぜ起こり」「どのように進行するのか」という基本的なメカニズムを、専門用語をできるだけ避けて、やさしく解き明かしていきます。

この記事を読み終える頃には、「歯肉炎」と「歯周炎」という2つの段階を理解することが、ご自身の歯を生涯にわたって守るための、とても重要な第一歩になるはずです。

【浜松の皆様へ】歯周病の直接的な原因「プラーク」とは?

 

歯周病の直接的な原因は**「歯垢(プラーク)」**です。これは単なる食べかすではありません。プラークとは、細菌たちが歯の表面に集まって作り出した、ネバネバした膜(すみか)のことで、専門的には「バイオフィルム」と呼ばれます。このバイオフィルムは非常に手ごわく、うがい薬などでは簡単に除去できません。

1965年に行われた有名な実験があります。 健康な歯ぐきの学生たちが歯磨きを完全にやめたところ、10〜21日後には、**参加者全員に歯ぐきの炎症(歯肉炎)**が見られました。しかし、その後、歯磨きを再開してプラークを徹底的に取り除くと、赤く腫れていた歯ぐきは、わずか1週間で完全に健康な状態に戻ったのです。

この実験が教えてくれる最も重要なことは、**「歯肉炎は、原因であるプラークを取り除けば、完全に元の健康な状態に戻る(可逆的である)」**ということです。これは歯周病を理解する上で、大きな希望となります。



1. 浜松市の青木歯科医院で行う歯周病治療の流れ

 

ステップ1:初診・カウンセリング

 

まず、患者様が今お困りのこと、気になっていることを詳しくお聞かせください。

  • 「歯磨きのたびに出血する」

  • 「歯ぐきが腫れている気がする」

  • 「口臭が気になる」

  • 「歯がグラグラする」

どんな些細なことでも構いません。治療に対するご希望や不安な点なども、遠慮なくお話しください。いきなり歯を削ったり、痛い治療を始めたりすることはありませんので、ご安心ください。

 

ステップ2:精密検査・診断

 

カウンセリングでお伺いした内容をもとに、現在のお口の状態を正確に把握するための検査を行います。適切な治療計画を立てるために、非常に重要なステップです。

  • 歯周ポケット測定: 歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の深さを、専用の器具で一本一本丁寧に測定します。

  • レントゲン撮影: 歯を支えている顎の骨が、歯周病によってどの程度失われているかを確認します。

  • 口腔内写真撮影: 現在の歯や歯ぐきの状態を記録し、治療経過の比較にも使用します。

  • 歯の動揺度検査: 歯がどの程度グラグラしているかを調べます。

検査結果をもとに、現在の歯周病の進行度を診断し、患者様に分かりやすくご説明します。

 

ステップ3:歯周基本治療(原因の除去)

 

歯周病治療の基本であり、最も重要な治療です。原因であるプラーク(歯垢)や歯石を徹底的に取り除いていきます。

  1. ブラッシング指導(TBI): 歯周病治療は、患者様ご自身の毎日のセルフケアが何よりも大切です。国家資格を持つ歯科衛生士が、お一人おひとりの歯並びやお口の状態に合わせた、最適な歯ブラシの選び方・磨き方を丁寧にお伝えします。

  2. スケーリング(歯石除去): 専用の器具を使い、歯の表面や歯ぐきの上に見えている歯石やプラークを除去します。

  3. SRP(スケーリング・ルートプレーニング): 歯周ポケットの奥深く、歯根の表面に付着した硬い歯石を、数回に分けて丁寧に除去します。必要に応じて麻酔を使用しますので、痛みを感じることはほとんどありません。


 

ステップ4:再評価検査

 

歯周基本治療を終えてから数週間後、歯ぐきの状態がどれくらい改善したかを再度検査します。

歯周ポケットの深さなどをもう一度測定し、炎症が治まっているかを確認します。この時点で歯ぐきの状態が良好に改善していれば、治療は完了となり、次の「メインテナンス」へと移行します。

 

ステップ5:歯周外科治療(※必要な場合のみ)

 

歯周基本治療を行っても、深い歯周ポケットが残ってしまったり、改善が見られなかったりする場合には、歯周外科治療をご提案することがあります。

これは、歯ぐきを少しだけ開いて、歯根の表面にこびり付いた歯石を直接目で見て完全に取り除くための治療です。事前に十分な説明を行い、患者様のご同意を得てから行いますのでご安心ください。

 

ステップ6:メインテナンス(定期検診)

 

歯周病治療は、終わってからが本当のスタートです。 歯周病は、一度改善しても、日々のケアを怠ると容易に再発してしまう病気です。治療によって取り戻した健康な状態を長く維持するために、定期的なメインテナンスが不可欠となります。

  • 内容: プロによる専門的なクリーニング(PMTC)、歯周ポケットのチェック、ブラッシングの再確認など

  • 頻度: 患者様のお口の状態に合わせて、1ヶ月〜6ヶ月に一度のペースでご来院いただきます。

 

2. 体の「防御反応」が、自分の組織を壊してしまう?

 

歯ぐきが赤く腫れたり、出血したりするのは、プラーク内の細菌が体内に侵入するのを防ぐための、体の**「防御反応」**です。これは体を守るために不可欠なシステムです。

しかし、この防御反応が過剰になったり長引いたりすると、意図せず自分の組織を破壊する「諸刃の剣」となってしまいます。

  • 戦うための武器: 細菌という敵を察知すると、体は白血球を現場に派遣します。白血球は、細菌を倒すために強力な「酵素」や「活性酸素」といった武器を使います。

  • 意図せぬ被害: これらの武器は非常に強力なため、敵である細菌だけでなく、その周りにある自分自身の歯周組織(歯を支えるコラーゲン線維など)まで巻き添えにして破壊してしまいます。これが、歯周病による「組織破壊」の正体です。


歯肉炎の段階では、この「攻撃」と「鎮火」のバランスがなんとか保たれています。しかし、このバランスが一度崩れてしまうと、病気は次のステージである「歯周炎」へと進行してしまうのです。

 

3. 静かに進行する物語:歯肉炎から歯周炎への4ステップ

 

歯周病は、ある日突然発症するわけではありません。病気が静かに進行していく4つのステップを見ていきましょう。


  • ステップ1:健康な歯肉 見た目はピンク色で健康そのもの。しかし、歯ぐきの内部では、ごく少量のプラークに反応して、すでに目に見えないレベルでの弱い炎症が始まっています。

  • ステップ2:歯肉炎 プラークが増えると炎症は本格化し、歯ぐきの発赤・腫れ・出血といった、自分でも気づけるサインが現れます。この段階ではまだ歯を支える骨は破壊されておらず、丁寧な歯磨きで健康な状態に戻せます。歯ぐきからの出血は、まだ引き返せるという体からのサインなのです。

  • ステップ3:歯周炎への移行 炎症が歯ぐきの奥深くへと広がり、ついに歯を支えている歯根膜や歯槽骨といった組織の破壊が始まります。この破壊は、一度起こると元には戻りません。

  • ステップ4:歯周炎の確定 組織破壊が進み、歯と歯ぐきの間に深い**「歯周ポケット」**が形成されます。このポケットは細菌の格好のすみかとなり、さらに病状を悪化させます。最終的には歯を支える骨がなくなり、歯がグラグラになり、抜け落ちてしまうこともあります。



4. 歯周炎の進行を加速させる「リスクファクター」

 

同じように歯を磨いていても、歯周炎になりやすい人となりにくい人がいます。その違いを生むのが**「リスクファクター」**です。特に重要な2つをご紹介します。

  • 喫煙 喫煙は歯周炎の最大のリスクファクターの一つです。タバコは歯ぐきの血流を悪くするため、炎症のサインである**「出血」が起こりにくくなり、病気の発見が遅れます。**また、体の免疫力を弱め、病気が進行しやすくなります。

  • 遺伝 歯周炎のリスクの約半分は遺伝的な要因が関係するとも言われています。生まれつき炎症反応が強く出やすい体質があるということです。ご家族に歯周病で歯を失った方がいる場合は、特に注意が必要です。



例えば、喫煙者で遺伝的リスクもあるAさんは、自覚症状がないまま静かに歯周炎が進行するリスクが非常に高い状態です。一方、非喫煙者で遺伝的リスクも低いBさんは、プラークが増えても歯肉炎の段階で食い止められる可能性が高いと言えます。

 

まとめ:ご自身の歯を守るために知っておいてほしい3つのこと

 

この記事を通じて、歯周病の基本的なメカニズムをご理解いただけたでしょうか。最後に、あなたの歯を守るために、今日から覚えておいてほしい3つのことをまとめます。


  1. 原因はプラークです。 日々の歯磨きで、細菌の塊であるプラークを機械的に取り除くことが、すべての予防と治療の基本です。

  2. 歯肉炎は「まだ間に合う」警告サインです。 歯ぐきからの出血は、痛みがないからと見過ごさないでください。この段階で対処すれば、健康な状態に引き返すことができます。

  3. 歯周炎は静かに進行します。 一度歯周炎に進行すると、自覚症状がないまま組織破壊が進みます。手遅れになるのを防ぐには、喫煙などのリスクを正しく理解し、症状がなくても定期的に歯科医院でチェックを受けることが唯一の方法です。



歯周病の基本を理解することは、ご自身が歯の健康を守るための強力な武器になります。日々の丁寧なセルフケアと、私たち専門家による定期的なケアを両立させ、生涯ご自身の歯で美味しくお食事を楽しめる未来を目指しましょう。

また、浜松市内に住所を有する20歳以上の方々には歯周病検診のハガキが届くことがあります。

受診券が送られる方

令和8年3月31日時点で、20・25・30・35・40・45・50・55・60・65・70歳になる方。
受診券(ハガキ)は令和7年3月末頃に郵送しています。


詳細はこちらからご確認おねがいします。↙️

歯周病検診 について




浜松市で歯周病の検査や治療、予防についてご心配な点がございましたら、どうぞお気軽に【青木歯科医院】までご相談ください。



この記事では、歯周病の基本的な知識について解説しました。浜松市西区(中央区)の青木歯科医院では、専門的な歯周病検査と治療を行っております。

この記事の監修者:青木歯科医院 院長 青木 俊明