知っておきたい入れ歯の寿命目安。人工歯のすり減りが『お口の土台』を壊す理由|青木歯科医院|浜松市中央区の歯医者

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知っておきたい入れ歯の寿命目安。人工歯のすり減りが『お口の土台』を壊す理由

「入れ歯がガタつくようになった」「見た目が老けてきた気がする」……

その原因は、入れ歯の土台ではなく、実は**「人工歯のすり減り」**にあるかもしれません。

 

今回は、歯科医師の視点から、入れ歯の寿命と、人工歯の摩耗がもたらす「お口の土台(顎の骨)」への深刻な影響について詳しく解説します。

 

1. 入れ歯の寿命は「4〜6年」がひとつの目安



統計的なデータ(20年間の追跡調査など)によると、総入れ歯の平均寿命は約6年前後と報告されています。

実際には、約18%が2〜10年の間に新製されており、10年を超えて快適に使い続けられるケースは非常に稀です。

「壊れていないからまだ使える」と思われがちですが、入れ歯の寿命とは**「お口の状態と装置のズレが、許容範囲を超えた時」**を指します。

私の今までの歯科医師人生としての実感としては

保険適応の人工歯を用いた義歯の場合は2~5年

保険適応外の耐摩耗性の高い人工歯を用いた義歯の場合は5~10年

保険の人工歯の咬耗の速度が速く、5年程度経過するとかなり機能が落ちている場合が多いです。
人工歯によって、咬耗のスピードは大きく違いが出ます。

また、人工歯だけが劣化してしまう場合には人工歯のみを修正することで既存の入れ歯を修正して作成することができます。

一度良い入れ歯を作ることはそのような意味でも有用であると考えます。



2. 保険の「レジン歯」はタイヤと同じ消耗品



保険診療の入れ歯で使われる「レジン(プラスチック)歯」は、加工しやすい反面、非常に削れやすい(摩耗しやすい)という弱点があります。

毎日のお食事で、プラスチックの歯は少しずつすり減っていきます。これは、毎日走る車のタイヤが摩耗していくのと同じです。

しかし、入れ歯の場合、この「すり減り」を放置すると、取り返しのつかない事態を招きます。






 

3. 人工歯のすり減りが「お口の土台」を壊すメカニズム

歯が削れて短くなると、お口の中では以下のような「負の連鎖」が始まります。



① 噛み合わせの高さ(咬合高径)の低下



奥歯が削れると、上下の噛み合わせがどんどん低くなります。

これにより口元のシワが深くなり、「老け顔」に見える原因になるだけでなく、顎が深く噛み込みすぎることで顎関節症を引き起こすこともあります。



② 下顎のズレと「横揺れ」の発生




奥歯の高さが失われると、下顎は行き場をなくし、前上方へとズレるように動いてしまいます。

この状態で噛むと、入れ歯に「横揺れ」の無理な力が加わり、特定の場所に強い圧力が集中します。




③ 顎の骨(顎堤)の吸収



顎の骨は、不適切な強い力がかかり続けると、「吸収」といって少しずつ溶けて痩せていってしまいます。

一度溶けてしまった顎の骨を元に戻すことは、現代の歯科医療でも非常に困難です。

土台が痩せ細ると、次に新しい入れ歯を作ろうとしても「外れやすい」「痛みが出やすい」といった難症例になってしまうのです。

 

4. 「一生モノの土台」を守るための選択肢




将来、入れ歯で苦労しないためには、以下の2つの視点が重要です。

 

  • 自費診療の「高品質な人工歯」: 摩耗に非常に強い「セラミック歯」や「硬質レジン歯」を選択することで、理想的な噛み合わせを長く維持し、顎の骨へのダメージを最小限に抑えることができます。

  • 定期的なメンテナンス(リライニング): 保険・自費にかかわらず、定期的に歯科医院でチェックを受けましょう。削れた分を補う修理(裏打ち)を行うことで、顎の骨を守ることができます。

     

まとめ:入れ歯選びは「10年後の自分」への投資



入れ歯は単なる「食事の道具」ではなく、大切な「顎の骨(お口の土台)」を守るための装置でもあります。

「ただのすり減り」と侮らず、10年後も美味しく食事ができる土台を残すために、今の自分にとって最適な選択をしていきましょう。



 


浜松で入れ歯の新製・調整をお考えの方へ




当院では、患者様一人ひとりの顎の骨の状態(顎堤)を精密に診断し、将来まで見据えた入れ歯づくりを提案しています。

「噛み合わせが変わった気がする」と感じたら、お早めにご相談ください。