西山あおき歯科クリニック

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大人の歯がぐらぐらして抜けそう…原因と受診の目安、受診までの過ごし方

大人の歯がぐらぐらして抜けそう…原因と受診の目安、受診までの過ごし方

痛みが弱くても、揺れる永久歯は早めの相談を


大人の永久歯は、生え変わりで揺れることがありません。噛むと歯が動く。歯磨きのたびに血がにじむ。こうした変化は、歯を支える歯ぐきや骨に何かが起きているサインと考えられます。痛みが強くないと、数日様子を見たくなるかもしれません。ただ、揺れの原因は見た目や痛みだけでは判断できません。この記事では、症状ごとの受診の目安、歯周病・外傷・噛みしめといった原因、受診までの食事と歯磨きの注意点、診察の流れを順に整理しました。仕事の予定を調整するかどうかを決める材料にしてください。


この記事の要点まとめ


  • 永久歯の揺れは痛みが弱くても原因を自己判断せず、出血・腫れ・外傷の有無を踏まえて歯科へ相談する。
  • 原因には歯周病、外傷、噛みしめや噛み合わせの負担などがあり、診察や画像検査で状態を確認する。
  • 受診までは揺れる歯で噛まず、硬い食べ物や指・舌で動かすことを控え、やさしく歯磨きを続ける。

目次



歯がぐらぐらして抜けそうなとき、いつ歯科を受診する?

歯がぐらぐらして抜けそうなとき、いつ歯科を受診する?

急ぐべきかどうかは、きっかけと一緒に出ている症状でおおよそ見当がつきます。


転倒や打撲の後に揺れたら、その日のうちに相談


転んで口をぶつけた。スポーツ中にボールが当たった。こうした外傷の後に歯が揺れ始めたなら、できればその日のうちに歯科医院へ連絡しましょう。歯の位置がずれた、噛み合わせが急に変わった、歯が抜けてしまったという場合は、時間がたつほど元の位置に戻す処置が難しくなることがあります12。


一方で、押さえても出血が止まりにくい、顎を強く打って口が開けにくい、息苦しさや飲み込みにくさがある場合は、歯科より先に救急外来の受診も検討してください。


腫れ・出血・痛みがある場合の受診の目安


歯ぐきの腫れが頬のほうまで広がってきた、熱っぽい、痛みが日ごとに強まっている。こうした変化があれば炎症が進んでいる可能性があり、早めの相談が安心です2。


強い症状がなくても、歯磨きで出血があり、噛むと歯が揺れるという組み合わせは、歯周病が進んでいるときによく見られる状態です。歯周病の治療を受けている方でも、揺れのある歯は揺れのない歯に比べ、長い期間のうちに抜歯に至るリスクが高いと報告されています3。急なシフト変更が難しいなら、まず電話で症状を伝えて受診日を相談するところから始めてみてください。


痛みがなくても、永久歯の揺れは様子見にしない


歯周病は痛みを伴わずに進むことが多く、痛みの強さと進行の程度は一致しないことがあります2。「痛くないから軽い」とは言い切れません。


乳歯が6〜12歳ごろにぐらつくのは、下から永久歯が押し上げてくる自然な生え変わりの過程です。お子様の乳歯であれば、舌や指で軽く触れているうちに自然に抜けるのを待つこともあります。けれども大人の永久歯には、次に生えてくる歯がありません。揺れは支えが弱まっているサインと受け止め、診察で確かめることをおすすめします。


大人の歯が揺れる原因は?出血やきっかけから考える

大人の歯が揺れる原因は?出血やきっかけから考える

それまでの経過や揺れ始めたきっかけから、考えられる原因はある程度しぼれます。ただ、複数の原因が重なっていることも珍しくありません。


歯磨きで出血していた歯:歯周病による支えの変化


以前から歯磨きのたびに血が混じっていたなら、まず歯周病が考えられます。歯と歯ぐきの境目にたまった歯垢(プラーク)の細菌によって歯ぐきに炎症が起き、赤く腫れて出血しやすくなるのです4。この段階の歯肉炎は、清掃状態が整えば落ち着くこともあります。


炎症が長く続くと、歯を支える歯根膜や歯槽骨が少しずつ失われていきます24。支えが減った歯は噛む力を受け止めきれず、揺れ始めます。ぐらつきは歯を失うリスクに関わる所見ですが3、それだけで抜歯が決まるわけではありません。どこまで支えが残っているかを調べたうえで、治療の方針を考えます。


急に揺れ始めた歯:ぶつけた衝撃や歯の損傷


数日前までは何ともなかったのに急に揺れ出した場合は、きっかけがなかったか思い返してみてください。転倒や打撲のほか、硬い物を噛んだ瞬間に「ガリッ」とした感触があったという記憶も手がかりになります。


強い衝撃で歯を支える組織が傷ついたり、歯の根にひびが入ったりすると、外からは見えないまま揺れだけが現れることがあります12。見た目に変化がなくても、根や骨の状態はレントゲンなどで確かめる必要があります。いつ、何があったかを、受診時にできるだけ具体的に伝えましょう。


噛むと揺れる歯:噛みしめや噛み合わせの負担


日中の食いしばり、睡眠中の歯ぎしり、噛み合わせのずれ。こうした習慣や状態があると、特定の歯に強い力がかかり続けることがあります。力が集中した歯は支えの組織が負担を受け、揺れやすくなります。


部分入れ歯のバネ(クラスプ)をかけている歯も、入れ歯を支える役割を担うため負担がかかりやすい歯です。義歯が合わなくなってきたサインが、バネの歯のぐらつきとして表れることもあります。


噛み合わせの負担に歯周病が重なると、揺れはさらに大きくなりやすいとされます23。原因を一つに決めつけず、診察で全体を確認してもらいましょう。


受診までに歯を悪化させない食事と歯磨き


受診までの数日は、揺れている歯をなるべく休ませ、周りを清潔に保つことを意識してください。


揺れる歯で噛まず、硬い食べ物を避ける


食事は、揺れる歯と反対側でゆっくり噛むのが基本です。せんべいやナッツ、フランスパン、骨付き肉、するめなど、硬い物や噛みちぎる力のいる物は受診まで控えておくと安心でしょう。おかゆ、うどん、豆腐、煮込み料理、卵料理のように、やわらかく食べやすいものが向いています2。


職場に持っていく昼食も、おかずを小さめに切り、汁物を添えると噛む回数を減らせます。噛むと痛くて食事がとれない、揺れが日に日に大きくなる。そんなときは予約日を待たずに歯科医院へ連絡してください。


出血が気になっても、歯磨きをやめない


血を見ると磨くのが怖くなるものです。とはいえ歯垢が残ったままだと、歯ぐきの炎症は続きやすくなります。やわらかめの歯ブラシを選び、揺れる歯には毛先を軽く当てる程度にとどめ、周りの歯を丁寧に磨きましょう2。


クロルヘキシジンなどを含む洗口液は、歯磨きと併用すると歯垢や歯肉炎の軽減に役立つという報告があります4。ただし、洗口液は歯磨きや歯科での処置の代わりにはなりません。歯石や歯周ポケットの奥の汚れは、うがいだけでは取りきれないためです。使う場合は製品の表示や歯科医師の指示に従ってください。


指や舌で動かす・自分で抜くのは避ける


揺れ具合が気になって、舌や指でつい歯を押してしまう方は少なくありません。けれども何度も動かすと、残っている支えの組織に負担がかかり、歯ぐきの傷や炎症のきっかけにもなります。自分で抜こうとするのも控えましょう。


万が一、食事中などに歯が抜けてしまったら、根の部分には触れずに拾い、乾かさないようにして速やかに歯科医院へ連絡してください12。


静岡県で歯科に相談する際の伝え方と診察の見通し


静岡県内で働きながら子育てをしている方からは、「急にシフトを休めない」「治療費がどのくらいかかるか心配」という声をよく伺います。予約の段階で症状を具体的に伝えておくと、受診日の相談がしやすくなります。


予約時は「いつから揺れるか」「出血や外傷はあるか」を伝える


電話やネットで予約する際は、次の点をまとめておくとスムーズです。


  • 揺れに気づいた時期と、どの歯か
  • 噛んだときに揺れや痛みが強まるか
  • 歯ぐきの出血・腫れ・痛み、発熱の有無
  • 転倒や打撲、硬い物を噛んだなどのきっかけ
  • 部分入れ歯を使っているかどうか

仕事の都合ですぐに通えない場合も、症状を伝えたうえで「いつまでに受診したほうがよいか」を尋ねてみてください。ご高齢のご家族が通院しにくい状況なら、訪問歯科で診察や口腔ケアを受けられる場合もあります。


診察では歯ぐき・揺れ方・噛み合わせを調べる


診察では、歯ぐきの状態、歯周ポケットの深さと出血の有無、揺れの程度、噛み合わせの当たり方を確認します2。そのうえでレントゲンを撮り、歯を支える骨がどこまで残っているかを見ていきます。


必要に応じて、歯科用CTで骨の状態を詳しく調べたり、マイクロスコープで患部を拡大して確認したりする場合もあります。とはいえ、どの検査が必要かは症状や診察の結果から判断するもので、すべての方に同じ検査を行うわけではありません。


歯周病への処置や歯の固定など、原因に応じて方針を決める


歯周病が原因なら、歯石や歯垢を取り除く処置と毎日の歯磨きの見直しが治療の土台になります。定期的な歯石除去だけで一律に対応できるとは限らず、進行の程度に合わせた処置が求められます5。噛み合わせの負担が大きければ当たり方の調整やマウスピース、揺れが強い歯や外傷を受けた歯には、隣の歯とつなぐ歯の固定を検討することもあります。


歯を残せるかどうかは、検査結果によって変わります3。抜歯が必要と判断された場合も、その理由を確認し、部分入れ歯・ブリッジ・インプラントなど、その後の選択肢を相談できます。インプラントは自由診療の外科処置で、術後の腫れや痛み、インプラント周囲炎などのリスクがあり、長く使うには定期的なメンテナンスが前提です。


インプラント治療は公的医療保険の対象外で、手術から人工の歯が入るまでの期間は一般に3ヵ月〜1年程度、通院回数は検査・手術・型取り・装着などで5〜10回程度がひとつの目安です。費用は1本あたり30万〜50万円程度(検査・手術・かぶせ物を含む)が一般的な相場で、骨を補う処置が必要な場合は別途費用がかかります。これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。期間・回数・費用は骨の状態や本数によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。


歯周病の検査や基本的な処置は公的医療保険の対象となることが多く、初診時の窓口負担は3割負担で2,000〜5,000円程度がひとつの目安です。これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や検査内容により異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。


当院は「将来の口腔状態を見据えた診療を」という考えを大切にしています。痛みが落ち着いていても、今週中に一度、揺れに気づいた時期と症状を伝える連絡を入れてみてください。


よくある質問


Q. 歯がぐらぐらして抜けそうになったら、どうしたらいいですか?


A. 揺れる歯で噛まないようにし、指や舌で動かさずに歯科医院へ連絡してください。外傷がきっかけの場合や、腫れ・発熱・強い痛みがある場合は、その日のうちの相談をおすすめします。歯が抜けてしまったときは、根に触れず乾かさないようにして、速やかに連絡しましょう。


Q. 歯が揺れるときは何科を受診すればよいですか?


A. 歯科(歯科医院)が受診先です。顎を強く打って骨の損傷が疑われる場合などは、歯科口腔外科で対応することもあります。出血が止まりにくい、呼吸や飲み込みに影響がある場合は、救急外来の受診も検討してください。


Q. 進行した歯周病では、どのような症状が出ますか?


A. 歯ぐきが下がって歯が長く見える、歯ぐきから膿が出る、口臭が気になる、歯が動いて噛み合わせが変わる、歯と歯の間にすき間ができる、といった変化が見られることがあります。こうした症状があっても、検査で支えの状態を確認し、対応を検討していきます。


Q. 揺れている歯は、元のように揺れなくなりますか?


A. 原因や進行の程度によって異なります。歯ぐきの炎症が落ち着くと揺れが小さくなる場合もありますが、失われた骨が元に戻るとは限りません。診察で状態を確認したうえで、見通しを説明してもらいましょう。


Q. 仕事の都合で数日受診できません。どのくらい待てますか?


A. 一概には言えません。外傷の後の揺れや、腫れ・発熱・強まる痛みがある場合は、できるだけ早い受診が望まれます。それ以外でも、まず電話で症状を伝え、受診の時期を相談してください。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

3. Peditto M, Rupe C, Gambino G, et al. Influence of mobility on the long-term risk of tooth extraction/loss in periodontitis patients. A systematic review and meta-analysis. Journal of Periodontal Research. 2024. PMID: 38766764 / DOI: 10.1111/jre.13286

4. James P, Worthington HV, Parnell C, et al. Chlorhexidine mouthrinse as an adjunctive treatment for gingival health. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2017. PMID: 28362061 / DOI: 10.1002/14651858.CD008676.pub2

5. Lamont T, Worthington HV, Clarkson JE, et al. Routine scale and polish for periodontal health in adults. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2018. PMID: 30590875 / DOI: 10.1002/14651858.CD004625.pub5


青木 俊明

歯科医師


青木歯科医院

院長

青木 俊明

▶ 監修者プロフィール

経歴
昭和62年 朝日大学歯学部 卒業
平成6年 青木歯科医院 開業
平成24年 日本大学にて歯学博士取得(口腔病理学 専攻)
資格・所属学会
歯学博士
南カリフォルニア大学歯学部 研究員
インプラントセーフティーマーク認定歯科医師